並列処理性能
Maple 15 では、マルチコアから大規模な計算クラスタまで幅広い並列計算技術を利用できる多数のオプションを提供し、従来にない速さで大きな問題を解くことが出来ます。
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自動並列処理
Maple は、利用できるプロセッサ・コアを全て自動的に検出・活用し並列計算することで、コンピュータの処理能力を最大限に活かします。特別なプログラミング、オプションの変更などの必要はなく、使用コンピュータのコア数が分からなくても大丈夫です。Maple 15 では並列処理できるオペレーションが沢山あるため、計算結果が速く分かり、より大きな問題に取り組むことができます。
例として、Maple 15 が多項式演算の多くを自動的に並列化することが挙げられます。多項式演算は、他の様々な演算の一部として Maple ライブラリ中で広範に使われているのため、様々な計算を加速することになります。
例えば、多項式の展開では複数のコアを利用しています。
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上記の計算を Intel Core i7 920 プロセッサ(2.66GHz、64 ビット)上で行った場合、次のような実行時間となります。
Maple 15 でメモリ管理が改善されたことにより、この例題では Maple 14 に比べ Maple 15 のメモリ使用量は 約 20% 少なくて済みます。これよりも大きな例では、さらに目覚しいメモリ節約効果が得られます。
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ローカルグリッド上におけるマルチプロセス・プログラミング
Maple 15 では、事前の設定・手続き無しにユーザレベルから複数の計算プロセスを立ち上げることが出来ます。クラスタ上の大規模なグリッド計算でも、スーパーコンピュータでも同じ API を使用しているため、分散プログラムを自分のコンピュータ上で簡単にプロトタイプ・テストしてから、その同じコードを大きなグリッドで展開できます。今や 4 コアのコンピュータが一般的となり、8 コアや 12 コアもよく利用されるようになって来ています。ローカルグリッドの新機能を利用すれば、将来的にローカルなコンピュータを越えて拡張させたいかどうかにかかわらず、並列プログラミングを直ちに利用できるようにし、処理速度向上の恩恵をすぐに受けることができます。
複数の計算プロセスを用いたモンテカルロ積分法
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マルチスレッド・プログラミング
Maple は、自作プログラムからマルチスレッディングを利用できる唯一の科学計算システムです。Maple プログラミング言語から直接スレッドを立ち上げ、管理できます。さらに、Maple はタスクベースのプログラミングモデルを採用しているため、スレッド管理が簡単です。Maple 15 では、スレッド性能が大幅に向上し、タスクベース API に幾つか重要機能が追加されたため、並列プログラムをより効果的に作成し、コンピュータの全てのコアを有効利用することができます。
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グリッドコンピューティング
Maple 15 グリッドコンピューティング・ツールボックスは、並列プログラムを大規模計算クラスタやスーパーコンピュータに展開することを可能にします。非常に大きな問題にも取り組めるよう、ハードウェアの処理能力を最大限に引き出します。Maple グリッドは、専用クラスタ上に設定したり、既存の MPI サーバや Windows HPC サーバ環境に組み込むこともできます。新しいフレキシブル引数渡し等のグリッドパッケージの機能強化により、Maple 15 は本格的な高性能コンピューティングの理想的環境となります。
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CUDA サポート
Maple は、CUDA 対応グラフィックスカードの多大な処理能力を活用し、要所となる計算を加速することができます。Maple 15 では、CUDA 対応が Macintosh OS X プラットフォーム上でも新規提供されています。
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ユーザ・インターフェース
Maple 15 のスマート・ドキュメント環境は、解の構築、数学概念の探求、結果の発表等を行う上でより多くのオプションを提供します。
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変数マネジャー
変数マネジャーを使えば、その時の Maple セッションで定義されている全ての変数に簡単にアクセスできます。ドキュメント管理がしやすくなり、計算の状態を即座に評価でき、ドキュメントの中を閲覧しなくても変数値を確認できます。
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データテーブル
Maple 15 では、ドキュメントに直接埋め込むことができる新しいデータテーブルを利用して大量のデータを継ぎ目なく使うことができます。このテーブルのデータは対話的にでもプログラムからでも変更することができ、アプリケーションにパワーと柔軟性をもたらします。
テーブルのデータは、Microsoft Excel など様々なフォーマットでエクスポートできます。
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対話型アシスタントとタスクテンプレート
Maple には、60 を超える対話型アシスタントとチューターに加え、350 近くのタスクテンプレートがあり、コマンド名・構文・オプション名が分からなくても、関数のプロットから体積積分まで広範な頻出タスクでユーザーをガイドします。
ドキュメント内の数式をクリックするだけで数学演算を実行する状況依存メニューと共に、この「クリッカブル数学」機能は Maple が科学計算システムとして最短の学習時間を誇る大きな理由です。これらの革新的ツールを使えば、新しいユーザーでもすぐに結果を出し始めることが出来ます。
Maple 15 では、対話型のアシスタント・チューターの多くがさらに改良され、統一性・利便性がますます向上しました。Maple 15 では、ネットブック等の小画面に対して最適となるように改良された状況依存メニューを提供。さらに 40 個を超えるミニデモが加わり、基礎的な数学的概念を幅広く探索・図解することができます。
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可視化とプロット機能
Maple では、様々な分野にわたり 160 を超えるプロットの形式・オプションがあります。プロットは様々な方法でカスタム化することができ、テキスト、数学表現、矢印、手描き図等を入れることができます。
Maple 15 では、三角関数のプロット軸に の倍数の目盛が自動的に表示されます。
Maple 15 では、さらにプロットから直接データを抽出する手段や、微分方程式の解を可視化する新機能も提供します。
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対話型アプリケーションの作成
Maple 15 では、スライダー・ボタン・ダイアル等の対話型要素をドキュメントに入れた高度なアプリケーションを、素早く構築できます。これらのインターフェース要素をドキュメントにドラッグ・アンド・ドロップにより組み込み、少数の Maple コマンドによりその動作を設定します。Maple 15 では、この対話型要素のひとつとして新型データテーブルがあり、表形式データを読み込み・表示・使用する、より強力なアプリケーション構築に利用できます。
アプリケーションを作成したら、Maple から利用したり、MapleNet を使いウェブ上で提供することができます。未変更のドキュメントを MapleNet サーバーにセーブするだけで、アプリケーションを展開・提供できます。
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MapleCloud ドキュメント・リポジトリ
MapleCloud 立ち上げ以来、何千にも及ぶ文書が共有されてきました。Maple 15 では、クラウド・リポジトリ内のドキュメントの内容を検索できるようになったので、探しているドキュメントを簡単に見つけ出し、Maple セッションから開くことができます。
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計算アルゴリズム
Maple 15 では、記号計算、数値計算、大幅な計算速度向上、新アプリケーション分野対応等のための世界級アルゴリズムを新たに搭載しています。
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微分方程式
Maple は、微分方程式の記号解法の分野における圧倒的なリーダーです。Maple 15 では、多くの改良により対応できる問題の種類がさらに増えています。
例えば、Maple 15 は、有名な教科書 Differentialgleichungen(Kanke 著)の 1390 種の線形・非線形の常微分方程式の 96% を解くことができます。Mathematica 8 では、同書の 79% しか対応していません。さらに、Maple はその常微分方程式を Mathematica に比べて 10 倍以上の速さで解くことが出来ます。
記号ソルバに加え、Maple は多種の常微分方程式、偏微分方程式、微分代数方程式を数値的に解くことが出来ます。特に Maple 15 では、解法が難しいことで有名な高インデックスの微分代数方程式に対する高効率ソルバを用意しており、これは大規模な問題で威力を発揮します。
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最適化
新しい内点法ソルバは、Maple の最適化問題ソルバの一式を更に強化します。この新しいソルバは、大型疎線形問題で計算速度を大きく改善します。
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多項式の演算
Maple 記号計算エンジンは、拡張性と性能において他の追随を許しません。Maple 15 では、大型かつ密な多項式の乗算、除算、累乗において更に大きな機能強化を提供し、4 倍以上の加速が得られます。
Maple 15 では、多項式の変形の処理速度が向上しています。
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疎行列
疎な数値行列に対する多くの演算は、従来よりもはるかに速く実行されるように最適化されています。浮動小数点乗算、転置、ブロック・コピー、結合、部分行列の抽出等の演算が、ハードウェアによりほぼ瞬時に行えます。
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微分幾何学
微分幾何学パッケージでは新たに 17 のコマンドが加わり、一般相対論の分野における高度な計算を支援します。既存コマンドの多くは強化され、機能は一層充実し、呼び出しシーケンスも簡素化されています。二成分スピノル、ニュートン・ペンローズの定式化、特殊な幾何学的場、行列群とリー群、不変テンソル、アインシュタイン方程式の解のデータベース等が機能強化されています。
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高精度代数リカッチ方程式
連続・離散の代数リカッチ方程式のための Maple CARE と Maple DARE の各ソルバには、IEEE 倍精度を超えた精度の解を得ることができる高精度ソルバが加わりました。この種の方程式は多くのアプリケーションで重要となり、制御系の設計で特に便利です。
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パラメトリック解法
Maple 15 では、パラメトリック多項式の完全解を得ることができます。未知パラメータの性質により、全ての解を表示します。
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総和コマンドでは、新しい「パラメトリック」オプションを使い、パラメータに関する全ての場合分けを得ることができます。
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RegularChains パッケージの新しいコマンドを使うと、不等式、不同式を含む多項式系の実数解を計算できます。ここでも、パラメトリックな解を調べることができます。
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統計
Maple は、多くのアプリケーション分野で記号的・数値的な計算を行うことができる、充実した統計機能を提供します。Maple を使って以下のことができます。
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他のどのシステムよりも多種の統計値を扱えます。Maple では 35 種の分布をサポートしており、その分布に関する 45 種の特性値を計算することができます。
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確率分布関数や累積分布関数を与えたり、既存の分布を組み合わせることで自作の分布も作ることもできます。
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最尤法やその他の方法による推定や、仮説検定もできます。
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データ平滑化を行い、ノイズを多く含むデータから特定可能なパターンを抽出できます。
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対話型アシスタントやテンプレートを使い、このパッケージの膨大な能力を簡単に利用し、計算結果をすぐに出すことができます。
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Maple 15 では、幾つかの新コマンドが加わり、Maple の統計機能が強化されています。特に、新コマンドは離散時系列の自己相関や、二つの離散時系列の相互相関を効率的に近似計算します。
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単位と許容誤差
Maple では変数に単位や許容誤差を付け、シームレスに計算に埋め込むことができます。さらに、Maple は 500 種を超える単位で単位変換や単位の整合性チェックができ、入力値に許容誤差を伴う場合の計算結果の範囲も求められます。
Maple 15 における機能強化には、単位の簡単化をより自由に操作できるルーチンも含まれています。
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その他の改良
Maple 15 の計算エンジンには多くの改良がなされています。
以下は、そのいくつかの例です:
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DEtools と PDEtools における新機能
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Maple プログラミング言語の能力を最大限に引き出す新しいプログラミングガイド
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制御系の設計
Maple の DynamicSystems パッケージでは、線形システムを扱う多彩なツールを一式提供しています。MapleSim と MapleSim 制御系設計ツールボックスとあわせ、Maple は線形・非線形の制御系設計のための非常に効果的な環境を提供します。
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伝達関数、状態空間行列、零点-極-ゲイン、微分方程式の各表現法により線形・非線形システムを定義できる他、それらの間の変換が簡単にできます。
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連続・離散システムに対応し、離散化手法も複数提供しています。
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ボード線図、ナイキスト法、極・零点解析、根軌跡、ゲイン以外のパラメータに対する根軌跡をはじめとし、可観測性、可制御性、ラウス表まで、標準的な解析ツール。
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Ziegler-Nichols (時間・周波数応答)および Cohen-Coon を用いた PID 調整。
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高度な PID チューニング法: 主要極配置、指定された範囲およびゲイン・位相余裕内での極配置
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状態フィードバック制御: LQR(最適レギュレータ)、1 入力または多入力の極配置
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状態推定: カルマンフィルタ、1 入力または多入力の極配置
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このパッケージを通して、パラメータを導入しそれを含んだ表現で計算結果を出すことを、Maple の記号計算エンジンが可能にします。Maple 15 の制御系設計における改良には、入出力のパラメータを設定する際の柔軟性向上があります。
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物理
Maple は、物理学の研究と教育の様々な用途に威力を発揮します。運動学、動力学、テンソル計算、常微分・偏微分方程式の解析解の導出、微分幾何学、抽象ベクトル代数、特殊関数、電磁力学、一般相対論、量子力学、ファインマンダイアグラム等、Maple は様々な物理学分野の高度な計算が出来ます。
Maple 15 における微分方程式の解法の進歩、ベル関数の導入、微分幾何学の新アルゴリズムは、Maple で取り組むことができる物理アプリケーションの深さと広さを更に拡大します。
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財務モデリング
新しい財務パッケージは、リスク解析、ポートフォリオ管理、定量分析、モデル検証の各分野における財務モデリングのための充実した機能を提供します。
次の機能が利用できます。
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確率過程とそのシミュレーション、確率変数入りの式の変形のための記号計算ツール
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エクイティー・ツリー、短期利率三項ツリー、インプライド二項・三項ツリーを含む二項・三項ツリー構築ツール、および格子法
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ヨーロピアンオプション、アメリカンオプション、バミューダン・オプション等の金融商品のサポート、および決済を Maple プロシージャとして指定して新しい金融商品を作る能力
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このパッケージは 64 ビット Windows では提供されていません。32 ビット版をインストールすれば利用できます。
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コネクティビティ
Maple 15 では、インターネットや、ツールチェーン内の他製品への接続が今までになく簡単になりました。
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コード生成
コード生成が出来る言語は、従来の C、Java、Fortran、Visual Basic、MATLAB に、新たに C# が加わりました。コード生成ツールを使えば Maple の構文やプログラムを簡単に著作権使用料無料のソースコードに変換できます。
Maple 15 には、従来よりもさらにコンパクトで効率のよいコードを生成する新しい最適化アルゴリズムも加わりました。この最適化手法に使われている記号計算技術は、通常の言語コンパイラの能力をはるかに超えたもので、非常に複雑な数式でも、それを計算する効率良いコードを生成します。
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HTTP 接続
Maple 15 は、ウェブサイトに接続しデータを取得するための新しいパッケージを提供します。データフィード、オンライン・データベース、その他のインターネット・イントラネットの情報源に接続し、そのデータを Maple アプリケーションに自動的に取り込むことが出来ます。
この機能は非常に応用範囲が広く、財務データ解析やジオマッピング等に有用です。
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Excel 接続
Maple 15 では Excel 接続機能がより柔軟となり、新しいデータ抽出・管理方法が加わりました。
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行列のインポート・エクスポート
MATLAB の行列を Maple にインポート、または Maple からエクスポートする機能は、密行列に加え疎行列が扱えるように拡張しました。
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CAD 接続
Maple は、CAD システムに重要な解析機能を与えます。CAD ユーザーは、設計を解析・最適化するため Maple の計算能力を利用できます。Maple は業界の三大 CAD ツールである Solidworks、NX、Autodesk Inventor に接続できますが、Maple 15 では、NX 7 も加わりました。
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